5T50の写真
LUX 5T50
FREQUENCY SYNHESIZED FM TUNER ¥220,000

1976年にラックスが発売したシンセサイザー方式チューナー。ラックスのチューナーの中でも最高級機として
発売された機種で,ラックスの中で,最先端の技術を搭載した「LABORATORY REFFERENCE シリーズ」
の1つとして発売されていました。

5T50の最大の特徴はシンセサイザー方式の採用でした。デジタルシンセサイザー方式は,チューナーの心臓
部ともいえる発振回路をPLL(Phase Locked Loop)で制御する周波数シンセサイザーで構成し,受信周波
数を直接デジタルコードで決定するもので,高い同調安定性が得られ,1980年代以降はチューナーの主流とな
りました。5T50は,ラックス初のシンセサイザーチューナーとして発売された機種で,システムとして機能性を追
求した「LABORATORY REFFERENCEシリーズ」らしい先進的な1台でした。

フロントエンドは,高周波増幅段とミキサー段にMOS FETを使用し,低歪みの局部発振回路の後にはバッファー
回路が設けられ,イメージ,スプリアス,IF妨害など妨害排除特性の改善を図っていました。
中間周波増幅段には,特に位相特性を重視した4ポール・ブロックフィルター2個とセラミックフィルターを組み合
わせて両方の長所を引き出し,高選択度と低歪みの両立が図られていました。また,過変調に強いクオドラチャー
広域検波回路の搭載も低歪み化につながっていました。
マルチプレックス回路には,低歪みのPLL・ICが採用され,すぐれたセパレーション特性を実現していました。ラッ
クス得意のアンプ回路も,広帯域・広ダイナミックレンジものが搭載されていました。
電源部は,すべの回路に安定して電源を供給する本格的な定電圧電源回路が搭載されていました。

シンセサイザー方式チューナーならではのメモリー機能は,メモリー素子にC-MOS ICを使った純電子式メモリー
で,安定で高速なメモリー選局を可能としていました。メモリー局数は7局で,電源を切ってもメモリーが保持され
る不揮発性メモリーになっていました。
選局機能もシンセサイザー方式チューナーらしいもので,UPとDOWMの2つのボタンで行い,放送電波をキャッチ
すると止まるオートチューニングと,ボタンを押し続けると受信周波数が変化し続けるマニュアルチューニングが搭
載されていました。
シンセサイザー方式チューナーならではの受信周波数のデジタル表示のほかに,アナログ的感覚を取り入れ,ダイ
アル・スケールの直観的判断が行えるように,76.1MHz〜89.9MHzのFM放送用帯域を1MHzごとに表示する
14個のLEDと1MHzの間を100kHzごとに表示する10個のLEDが設けられ,数字による表示とダブルの表示に
なっていました。

そのほか,機能としては,放送局の受信状態の目安を0〜5まで数字で表示する「シグナル・クオリティ・インジケー
ター」,テープデッキの録音レベルの基準信号になるテスト・トーン発振回路,マルチパス検出回路,ミューティング
レベル調整,スキャンニング・スピード調整,出力レベル調整などが装備されていました。

以上のように,5T50はラックスの最高級チューナーとして先進的な設計と同時に,オーディオ機器として違和感なく
使える機能性を追求した1台でした。「LABORATORYシリーズ」のチューナーとして完成度の高い1台だったと思い
ます。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
 
 


FM多局化時代に備えて開発した,
ラボラトリー・リファレンス・シリーズと
呼ぶにふさわしい,
デジタル周波数シンセサイザー方式
FM専用チューナー
 


●5T50の規格●


受信周波数範囲 76.1MHz〜89.9MHz
実用感度 1.7μV(300Ω,IHF),9.8dBf(新IHF)
SN比50dBクワイティング感度 3.2μV(mono,IHF),15.2dBf(mono,新IHF)
40μV(stereo,IHF),37.2dBf(stereo,新IHF)
2信号選択度 72dB(100μV,±400kHz)
振幅変調抑圧度 55dB
キャプチャ比 1.1dB
イメージ比 100dB
IF妨害除去比 100dB
スプリアス特性 100dB
SN比 70dB
周波数特性 30Hz〜15,000Hz(+0.2dB,−1dB)
50Hz〜10,000Hz(±0.2dB)
全高調波歪率 0.05%(mono,100Hz),0.1%(stereo,100Hz)
0.06%(mono,1kHz),0.08%(stereo,1kHz)
0.1%(mono,10kHz),0.3%(stereo,10kHz)
ステレオ・セパレーション 50dB(1kHz),48dB(100Hz),48dB(10kHz)
キャリア・リーク −65dB
アンテナ・インピーダンス 300Ω(平衡),75Ω(不平衡)
出力電圧 1V(fix),0〜1V(variable)
出力インピーダンス 600Ω
付属装置 純電子式メモリー・チューニング回路,オート・チューニング回路
数字表示式シグナル・クオリティ・インジケーター
レコーディング・キャリブレーター,マルチパス検出回路
ミューティング・レベル調整,スキャンニング・スピード調整
アンテナ・アッテネーター,出力レベル調整
消費電力 30W
外形寸法 442W×400D×101Hmm
重量 8.7kg
※本ページに掲載した5T50の写真,仕様表等は1976年のLUXのカタログ
 より抜粋したもので,ラックス株式会社に著作権があります。したがって,こ
 れらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられていますので
 ご注意ください。
 

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