小豆島 京都祇園夜桜の場、小豆島古城の場
小豆島は大正二年に歌舞伎座で初演され大正年間で7度上演された南北朝時代の佐々木信胤(のぶたね)とお妻(さい)の局をモチーフにしたお芝居です。
初演時には羽左衛門、歌右衛門、菊五郎、仁左衛門、段四郎といった錚々たる配役で演じられています。
中山には昭和24年に振付師の市川島十郎(昭和28年没)が書き写した台本が残されていますが、残念ながら上演されることなく現在に至っております。
本年は星ヶ城の阿豆枳神社200年祭と小豆島町合併を記念して、この台本を元に一部改定を加え上演致しました。
あらすじ
京都祇園夜桜の場
祇園の夜桜を見物に来た美人の誉れも高い菊亭大納言の養女お妻の局を高師秋が奪おうと企んでいます。
一方、師秋の伯父高師直もまたお妻の局に目をつけ、佐々木信胤を呼びつけお妻の局を奪い取る役目を所領の安堵をたてに無理矢理押し付けます。
信胤が不本意ながら引き受けさせられ役目を果たそうと待っていると、師秋主従が先にお妻を略奪してつれて帰ろうとしています。
信胤主従は手傷を負いながらも師秋を撃退したところ、お妻の局から親切に手傷の手当を受けたところから己の行為を恥、二人は恋に落ちます。
しかし師直の命令に背いた以上は無事でいられるはずもなく、小豆島に逃れ二人で棲もうと決心します。
若草「姫様、今が盛りに御座りまするな。」 師直「佐々木殿、お妻の局を奪って参れ。」
師直「・・・・・・・。」 信胤「此の儀ばかりはご容赦下され。」
信胤「それなる女性この方へ渡されよ。」
妻「この薬,血止には希代の妙薬で御座りまする。」
師秋「何奴かは存ぜぬが命知らずの愚か者。」 信胤「忝のう御座る。」
信胤「お妻殿は右大臣家へお渡し仕る。」 菊亭「父となり子となりて早、十五年。」
菊亭「アイヤお妻は改めて其許に進上仕る」 お妻「父上様。」
小豆島古城の場
星ヶ城は信胤の父信盛が
お妻「此の島は眺めの佳い処で御座りまするな。」 信胤「小六には留守ご苦労であった。」
信胤「左様、この小豆島は実に奇麗な島なのじゃ。」 小六「お言葉、恐悦至極に存じまする。」
信胤「我は是より島の要害を見て参ろうぞ。」 義春「何?お妻というたらわしの許嫁じゃ。」
源吾「阿呆め、あちらへうせい。」
「狭霧晴れ行く景色のように、ありあり心に 「是が私の父上か。お懐かしゅう御座りまする。」
浮かび出で幼き時の事どもがはっきりと
目に見えるようじゃ。」
義春「武門の習いじゃ、そこ放されよ。」 義春「して何時までに信胤めを失い給うぞ。」
お妻「スリャどうでも信胤様を・・・。」 お妻「あの月の、・・・落ちるまでに。」
.
ここで舞台が回ります。
「我はこの大海に包まれて甘き恋に酔わんと お妻「妻がも持たらせしこの酒一つ聞こし召せ。」
するのじゃ。はははははは。」 信胤「おや、夜風が寒いか?その様に震えて。」
お妻「今、差し上げたは毒酒で御座りまする。」 お妻「妾も共に死出の道、三途のお供致しまする。」
信胤「い、いや、しかし最前御身もその酒を。」 信胤「御身が心は良くわかった。我は御身と諸共に
死ぬる事こそ本望なり」
義春「それにて我が一門の恨み、晴れ申した。」
信胤「我等が最後も、あの月と共・・・。」
お妻「アレ、月が・・・、落ち、ます、る。」
配 役
佐々木信胤・・・・久保 政 お妻の局・・・・・樋出 誠
神懸義春・・・・・越田正則 菊亭隆季・・・・・中畑 豊
高師 直・・・・・浜野良一 高師 秋・・・・・高橋健二
小六・・・・・・・箭木和則 弥次平・・・・・・箭木宏中
侍従・・・・・・・松江義人 乙熊・・・・・・・中村 徹
源吾・・・・・・・亘 知之 橘十・・・・・・・高松邦俊
若草・・・・・・・北方普幸 千鳥・・・・・・・浜野雄一郎