寿式三番叟
三番叟は能狂言の「翁」「三番叟」を移した天下太平、五穀豊穣を祈る目出度い舞踊で、中山でも例年舞台の第一幕に必ず上演されてきました。本年、上演した義太夫・寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)は二人で踊る「二人三番叟」とも呼ばれる演目で、昨年九月より阿波人形浄瑠璃の三味線指導者・豊澤町子先生に、全く撥を握った事のない白紙の状態から一年間懇切にお教えいただきました。その成果の一つとして今回お披露目した次第で、特にひのひのはまだまだ未熟ではありますが、三味線と義太夫の両方に挑戦しました。
昨年まで中山で上演されてきた三番叟は一人で踊るもので、三味線も太棹ではなく細棹で曲も似た雰囲気があるものの全く異なったものです。これが所謂三番叟物のうちのどの系列なのかその由来がよく分からないのですが、地芝居に残っているとされる「番立ち」と呼ばれる略式の三番叟なのではないかと思われます。今回新たな演目として高度な寿式三番叟を演奏して、より難しく奥の深い世界をのぞき見たと共に、以前よりの三番叟もまた農村歌舞伎の伝統として継承ゆかなければならないものだと痛感致しました。
演奏の方はベテランのお二方もおられたことから、大きな破綻もなく無事終える事が出来ました。ちょっとテンポが走りすぎだったのは、まあご愛敬。急ごしらえの踊りもご苦労様でした。
踊り 中畑 豊
箭木宏中
太夫 中村 巌
樋出 誠
三味線 樋出 誠
石原明子
佐伯富美子
中村 徹
おうさへ、おうさへ。ほう悦び有りや、悦び有りや。
我が此の処よりも他へはやらじとぞ思う。
物の音につれて立ち舞う小忌衣。
千歳は近江なる白髭の御神也。
黒き尉は住吉の大神。
鼓は波のどうと打つ音は高天原なれや。
岩戸に向かう神神楽。ほそろぐせりと、吹く笛も
ひいやひしぎの音色まで春は霞の立姿。
さらば鈴をまいらしょう。そなたこそ。
初日は諸願満足円満、二日の日はまた二ツ柱。
宇津女の神子が一ト二タ三四五ツ六ユ七八九十リ。
百千万の舞の袖。五月のサ女房が笠の端を連ねて
早苗、追取り打ち上げて唄うた。
千町、万町、億万町。
田をばぞんぶりぞ、ぞんぶり、ぞんぶり、ぞんぶりぞ。
御田を植えるならば笠買うて着しょうぞ。
笠買うてたもるならば、なほも田を植ようぞ。
三日は福徳寿福円満、子徳人の子宝。
車座に並べた。たつまつ、いるまつ、かいつく、ひっつく。
火打ち袋にぶらりと着けて候ふぞ。
これ式三の故実にて、三日これを舞うとかや。
柳は緑、花は紅、数々や。浜の真砂は尽くるとも。
尽きせぬ和歌ぞ敷島の神の教えの国津民、
治まる御代こそ目出度けれ。