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伊勢崎21市民会議〜群馬県伊勢崎市

1.概要「伊勢崎21市民会議」とは

  市が毎年テーマを設定、これに公募による市民が集い、市民の目線からア
 イデアを出し、討議して、結果を市長に提言するという仕組み。市長はこれ
 を最大限、翌年度の予算に活かすなど、市政に反映させている。
  現在の市長が初出馬の時の公約で、当選と同時にスタート。今年で4年目
 を迎えている。
  市長は建設会社の社長から市議会議員となり、さらに県議を2期8年経験
 のあと市長に。長年の区長(コミュニティの会長に相当)を長年勤めた経験
 から、「市民の声が市政に反映されていない」との認識があり、これを公約に
 掲げ、実現させたとのこと。
  
2.市民会議の詳細

 @コンセプト
  ・「市長と市民が同じ内容を悩み考える」というコンセプト。
  ・市民参画型の市政を実現、広く市民の声を市政に反映させる。
  ・「自立した市民」による「自立した市民政治」が「自立した自治体」を作
   る。
 A会議の流れ
  ・毎年、市が特定の課題を提示して市民を公募。
   ○平成13年度のテーマ(5テーマ)
   市街地活性化 子育て支援 高齢者福祉 交通対策 環境 高度情報化
   ○平成14年度のテーマ(4テーマ)
   街づくりと学校 市町村合併 市民生活と農業 長寿社会と生きがい
   ○平成15年度のテーマ(4テーマ)
   地域遺産の活用 ごみの分別と減量 国際化のまちづくり 魅力ある伊
   勢崎高校
   ○平成16年度のテーマ(3テーマ)
   安心安全なまちづくり おいしく食べよう伊勢崎産食材 映像で残す伊
   勢崎市
  ・これらのテーマは市役所の企画課が考案、市長が選ぶ。スタート当初、
   たくさんのテーマを考案した。
  ・16年度からは、こうした市民の集まりが核となり、将来に向けて活動
   の組織が発展していくことも視野に入れる。例えば今年の「映像で残す
   伊勢崎市」のテーマは、明年の市町村合併を念頭に、今の伊勢崎市を映
   像に残そうとのことで、市内の芸術家が集まった。ここから、フィルム
   コミッションの活動につながればと考えている。
  ・応募者について
   テーマごとに応募者は17名から36名、平均20から29名(年度に
   より異なる)。うちリピーターは2割程度。複数のテーマ掛け持ちはでき
   ない。経験から、25名程度が最適か、とのこと。
   応募者には市職員OB、区長、防犯委員、市民活動をしている人、NP
   O活動をしている人などもいる。一般市民も多い。
   すべて報酬なし。特定の人を排除することもない。
   初年度については、啓発に努め、各種団体に応募をアピールして回った。
  ・会議の開催
   1テーマ1年間で7回程度の会議を持つ。
   いずれも1回目は委嘱式とガイダンス。「陳情のようなものではない」「つ
   ぶしあいの議論はいけない」など、説明を行う。
   テーマにより、町に出て調査したり、ワークショップを行う。また先進
   地のバス視察を行う。(市有バス利用、昼食各自負担)
   会議の案内、会議の場所の手配などは企画課が行うが、それぞれのテー
   マごとに、対応する部課が本部を設置、実質的に対応する。
   会議の進行はすべて委員が主体。市は口を出さない。ただし、市民の知
   らないこともあるので、テーマに関わる情報提供やアドバイスは行う。
   メンバーが互選で座長、副座長、書記を選出。スムーズにいっている。
   会議は原則として月1回、土曜日の午後に開催。
   傍聴自由、会議録はホームページに掲載。
   毎年5月に委嘱、11月に提言書提出で終わり。今年は明年に市町村合
   併を控え、予算に反映させるために10月に終えている。
   提案書提出の日は市長も出席、パワーポイントによるプレゼンを行う。
   (1テーマ15分程度、全テーマ合同で開催)
   提案書提出の後、市から全委員に宛てて回答書が送られる。
 A効果
  ・市民会議からの提言の中には、まったくこれまで市が考えてなかったこ
   ともあれば、すでに考えていたが実施をためらっていたものもある。こ
   うしたものは「市民からの後押し」により、実施を前倒しするという例
   もある。
  ・会議を担当するテーマ別の本部となる課の職員にとってもたいへん勉強
   になる。「行政が市民に向いている」という姿勢を作るために、いいトレ
   ーニングになる。また提言に至るまでの議論の経過を職員が体験するこ
   とが、職員にとってはよい研修である。
  ・市民会議を通して、メンバーが新しい動きを見せ始めている。例えば「食」
   について取り上げたメンバーが農協のイベントに作品を出展するなど。
  ・平成17年1月1日に合併、13万人から20万人の人口となる。新市
   の総合計画策定にあたっても、こうした手法と、提言された内容を盛り
   込んでいきたいと思っている。
 Bその他
  ・議会との関係
   議員の中には、市長が市民会議の提言を予算に反映したことをアピール
   するあまり、「議会軽視」との声もある。市としては、これまで市長と議
   会が車の両輪と言われていたが、これからは市長、議会、市民が三輪車
   の関係になるのではないかと考えている。
  ・市政モニターとの関係
   伊勢崎市にも市政モニター制度があり、現在18名。
   これはモニターが個人としての意見を出す場であり、会議として提言を
   まとめる当市民会議とは異質のものと考えている。
  ・ほかに、市長懇話会(公民館に市長が出向いて市民と語る)もあり、ま
   た市長は市役所玄関に降りていき、市民と懇談するということも行って
   いる。このように市長の公約「市民とともに考え市民とともに歩む」を
   実践する形として、定着した。明年の合併後も継続していく考え。


3.感想
 資料としていただいた市勢要覧を拝見すると、市長が掲げる「市民とともに考え、市民とともに歩む」とのスローガンが大きくクローズアップされています。この21市民会議のことも大きく取り上げられるとともに、市長のあいさつ文、対談の中にも、市長の意気込みが強くにじんでいます。市長メールという制度では、市長に寄せられたメールに対しては原則として1週間以内に返事をする、また視察の席上でも触れられていましたが、「ようこそ市役所へ」とのネーミングで、市長自ら市役所ロビーに赴き、市民の声を直接聞いていることが紹介されています。
 市勢要覧の市長のあいさつ文を少し紹介すると、「行政サービスは、それ自体を提供することが目的ではなく、行政サービスを受ける市民の満足度によって評価されるべきであると考えています。(中略)行政は市民の声を十分に聴き、市民ニーズを正確に把握するとともに積極的に市政に関する情報を公開し、自治体の決定事項や行動の合理性を説明していかなければなりません」
 まさにそのことを実践しているゆえに、視察のあと読ませていただいたこの文章には力があると感じました。
 「市民が主役」、それが地方分権から地方主権の時代へと向かう日本の動向にとって最も大切な視点であると思います。この伊勢崎市の例のように、行政が、市民を巻き込む、市民に参画してまちづくりをしてもらうということをいかに真剣に、早期に、巧みに仕掛けるか、というのが、いまの行政に課せられた最大の課題と言っていいと思います。
 思えば、教育をはじめ社会のあらゆるシステムが疲労の状況を呈し、その改革が叫ばれていない部門がないほどです。「市民が主役」というテーゼを考えるとき、多くの自治体が、トップである首長の公約実現という形態で、それを実現しようとしているのが実態であり、この伊勢崎市はまさにその典型でありました。そうすると、わたくしども議員がこのように先進地を視察し、こうしてレポートを書いているのは、どういう意味があり、そしてどのように生かせばよいのか、はたと考えてしまうところであります。
 わたくしどもはよその都市の真似をするということでなく、大いに丸亀方式を練って、失敗を恐れないで実行に移す、その示唆の役目と推進の旗振りの役目を、是非とも果たさなくてはならないと、そのように考えました。
 伊勢崎市と同じくわたくしどもの丸亀市も来年合併となります。市役所の仕組みを改変改革することには、ややもすれば「合併後に検討」ということで議論を先送りされてきた嫌いがありました。やむを得ぬ部分もありましたが、しかし議論を仕掛けていくことに躊躇する必要はないと思われます。
 伊勢崎市で伺ったところ、東京都豊島区、世田谷区、三鷹市などの先進事例があるとのことです。しかし自信をもって、伊勢崎市の担当者は「オリジナル伊勢崎方式」というのを確立しているところはめずらしい」とおっしゃっておられました。
 市民はもちろん、行政へ携わることをライフワークとされる市の職員の皆さんにとっても、手ごたえのある充実した仕事を成し遂げた、という思いで、いい仕事をしていただきたい。そんな願いも込め、今後市民参画のまちづくりの方策実現へ大いに議論を高めていく、その参考にしたいと思いました。
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