ちゃりんこdeパトロール
コミュニティデザイン講演会B
第188回

 コミュニティデザイナー、山崎亮氏、丸亀市での4月21日の講演録、続きで最終回です。
 
事例の4つめ。「十日町市まちなかステージ」。
 山崎氏の新潟市内での講演会に来場していた建築家など4人のメンバーが発起。人口は5万7千人、2012年のこと。「自分たちも十日町でやりたい」。市職員も呼んで、企画をスタート。その名も「すごく考えるプロジェクト」。
 ユーモアあふれるメンバーが揃ったのでしょう。ネーミングも「スダチコエチゴ〜studio H5」などとシャレた5人。2014年には市もこの運動に加わった。すでに市民が動いている。「山崎さんを市で呼んでくれ。あとはオレたちがやる」との心意気に市も動く。山崎氏も「ゼンブ教えます」と快諾。
 この5人に12人を加えた17人がコアメンバー。このコア集団の行動と、70人からなる本部隊と、二重で動かしていく。会議でファシリテーターを務めるのはこの17人。デザイン勉強会「En+Dsign」を立ち上げ「まちなかコンセプトブック」を発表。市民の手になるこのブックを市役所が市民にPRするという流れができた。そこに二つの拠点がある。市民活動センター。ここは準備をするところ。市民交流センター。ここは実行するところ。100m離れた位置にある2店舗。
 「まちなかステージ」の設計者を公募。99件の応募、64件の提案あり、ここから6組に絞り、プレゼンを実施。市ではなく前出の民間チーム「エンデザイン」が審査を担う。結果、西池袋公園を蘇らせた青木純さんに決定。「じゃあいっしょにやりましょう」の絆が結ばれる。
 ワークショップに参加した市民メンバーが出店する。農作物の店、部屋を仕切るが中が見える「ブンシツ」は青木氏の考案。高校生のファッションショー、ゆかたカフェなど多彩に。
 心がけたことは「なるべく市民参加を」。社会教育より住民参加こそ社会教育だ。福祉でもある。市民が関わることでコミットメント=関与力が高まる。
 市役所が「ダメ」「ダメ」でなく、市民がルールを刷新し続ける在り方を。「あそこに行けば市民活動がわかる」というセンターに。これがまちづくりの大きな力となる。

 丸亀市の市民交流活動センターに向けてアドバイス。どんな建物? よりどうやって進める? を大事に。ポジティブに未来を語ろう。

 ここからは会場とのQ&A。手前味噌ながら私がお声をかけた地元コミュニティの会長さんがまず手を挙げてくれました。それはまちなかにマンションが増えることの是非。建てて売れれば“逃げ切り”というマンション業者に要注意。その上で、入居者が出てきてくれるキッカケ、シカケを。自分たちのことを自分たちで決めていく風土が大切。入居者と付近住民が街歩きできるのが最上。
 次の質問は「AIとコミュニティデザインの関係は?」との高度な内容。これは困ったゾとなるのかと思わせる講師の表情。困ったのは実は、このことでさらに何時間でも語れる準備があるから、なのでした。ここにきて講演者は語りにさらに拍車が。
 「4年後にはハンドルのないクルマが公道を走る時代となります」。車で会社に送ってもらったら、車に「帰っておれ」と命ずる時代も近い。それは、偏差値を高める教育の意味がなくなる時代だ、とも。人間はその時代にも、友だちを作ることを学ぶこと、AIに学ばせることが大切となる。もっとしゃべりたそうだったけれど、この問答はここまで。
 問いの3つめは「島との連携」。「しまのわ2014」にかつて関わった。島との連携は、「観光よりも関係を」。100万人に来てほしいと企画したその運動は457万人を呼び寄せ、終わった今も交流が続いている。「儲かる」よりも「楽しい」を。「おかんアート」「ヤクルトの一輪挿し」運動はやがて「おとん」も誘い出した…女性参加が95%、そして満足度95%。「感動を持ち帰る」。京都に来たら寄ってね、の交流が今も。カネを抜きにして、まずつながろう、の運動を。
 最後は筆記が苦しくなった、そんな盛り上がりの結末。来場の方々は一様に上気した表情で会場をあとにしていました。
 さて、ここからが勝負。
 講演会から早や半年を迎えようとしています。待ったなしで交流センター建設が始まります。
 建設資材の準備よりも、人の心の手配を。「市民のデザインした構想を、市役所がPRする」という流れに。そしてコンペの審査も市民が。
 図らずも最後に話題に上った青木純さん。山崎氏と前後して、東汐入川「けんこう公園」オープンに際してたまたま、この方を招へいした丸亀市。偶然の一致でしょうが、これを偶然に終わらせてはならない、そう思います。
 青木氏の講演で「行政が作る公園って、面白くないんですよね」とズバッと。
 それだからどうするのか。「作れば誰かが来るだろう」の世は終わり、そこからを民間の力、市民の知恵にお願いする。いや、それをちゃんと手配しシカケるのか行政の何よりの火急の使命。そのことを参加者は誰もが確認し、そして「私も腰を上げよう」との気持ちで帰途につかれたはず。
 感激の冷めやらぬうちに、どうか次の一手を。そして「市民活動」の上昇気流を安定飛行に。迫りくる交流活動センターの命運が、いま決まろうとしています。
 


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