ちゃりんこdeパトロール
議会がミモカでアート鑑賞
第184回

 議会がミモカへアート鑑賞に。たぶんミモカ始まって以来のことと思います。
 
オープンから25年を経て、長期休館をしての大規模な改修が必要となりました。この間、ミモカ財団への事業委託から指定管理者へと、国の動向を受けて経営スタイルは変わってきましたが、いつも話題になるのはミモカの『無用の長物』論。現代音楽への理解やファン増はなかなか見込めず、駅前にありながら市民が来館しない、そして毎年、国県の補助なき市税100%の運営費持ち出し。全国、世界から、イノクマアートを求め、設計の谷口アートを求めてファンがやって来る。閉めてしまうこともできず、というのが長年の課題。その急先鋒は、やはり議会。
 展示企画については理事会、評議員会というしくみもあるが、「いったい誰が決めているんだ」と疑心暗鬼の声も聞こえる。長期休館を前に、議会でもかなり議論が高まってきました。
 そんな背景のもと、美術館側がどんな議論を経てこれを決めたのかは存じませんが、議会にご案内状をいただきました。開催中の猪熊弦一郎展『戦時下の画業』で、議員の皆さんに直接、キュレーターからの解説をします、という内容。
 かくして11月24日。人数を数えていませんが、多くの議員がこれに参加。これは一定の“効果”があったと、私には思えました。抽象画のはざまに置かれた戦時の具象画。中には戦地に赴いての国策を受けての大作もあります。このタイミングが、議員に見てもらう
のにちょうどいい、と美術館が考えたかどうかはわかりません。
 美術に常日頃、接してない人、あまり興味のない人もいたことでしょうが、それぞれに、ミモカの“空気を吸って”もらえたことでも、大きな一歩だと思います。
 さて、この「未知なる」体験にロビーに集合した議員もきょろきょろ。案内されて、一枚、また一枚と解説を受けていく。どの議員がどんな反応をしているかな。そんな興味もありました。
 戦争という困難な時代を、画家が通り抜けていく。空中戦では煙を吐いて落ちていくのは敵機だけ。猪熊作品には戦車はあっても血は描かれない。同時代にあのフジタは戦意高揚の臨場感ある映画のシーンのような場面を描いたが、猪熊は激選から一夜明けた戦場とか、のどかな農民の姿とか。軍当局はさぞご不満だったかも知れません。「美術の腕で貢献せよ」との通知文書も、また(原文ではありませんが)「空気を読んで画を描けよ」というすごみのある文書も展示されていました。
 案内が進むと一般のお客さんも混じり、議員もバラバラになってしまいましたが、これからの丸亀市の宝にも荷物にもなるこの美術館を、どうか重責を担う議員の皆さん、しっかり身に受け止めてくださいよ。そんな思いを募らせました。
 一方で美術館の皆さんにも、これを機として、議会のみな
らず広く市民の皆さまへ、芸術に迎合があってはいけないものの、頭に汗を流す覚悟で、これからの美術館運営に向かってほしい。こちらも祈るばかりです。
 一連の“戦略”なのか、12月14日にも再びご招待が。こちらは翌日の一般オープンを前にした内覧会とレセプション。ご存知アラーキーこと写真家の荒木経惟展。こちらは前者とはまた違う関心のありよう。この日も前回を上回る多くの議員が出席。しかし正直、賛否は分かれたようでした。一般の内覧訪問客もいたのに、議員だけに特別レクチャーいただいたのはちょっと恐縮。この日も、事情を知らない方々と、後半はなごやかに一体となって作品説明を味わいました。
 あんなエロ写真を丸亀の子どもたちにも見せるというのか。オープン前から議会内でもさまざまな“ささやき”が。市役所側も、これを“忖度”したのではないでしょうが、出品作品の選定にかなり気を使い、展示室内に「18禁」のコーナーを設けることでこの日を迎えました。ちまたに氾濫するモノに比べれば、胸をなでおろす程度のものでしたが
、アートはかくして、何かとオサワガセなもの。まあ、それでよしというべきでしょう。100人が100の意見と鑑賞を。でもそれが、また100人に波動していけば良いのでは。私にとってかの草間彌生とのここミモカでの出会いはひたすら混乱と不快感だったが、今はオッカケの一人となったように、アートは長く人生は短い。転変の中で、アラーキーの見方もまた変わる。それでいいのだと思います。
 観光地などとは異なる、難しい「丸亀のお宝」でもある美術館。スタッフ関係者のご努力で、一層来館者が増えますよう。そして未来に
、資産が輝きますように。
 私として、新庁舎、新市民会館
へのイノクマアートの活用へ、さらに声を高めてまいります。


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