「十人寄れば気は十色」と昔からよく申します。皆さんそれぞれにお顔が違いますように、その気性も違いますわな。まぁ、違うさかいによろしいんでございまして、こんだけ集まってはるお客さんがみな揃ってお手洗いに行かはったらそらもう騒動でございましょうなぁ。
さて、それぞれに気性が違う連中が何人か集まりますともう噺の始まりとなりまして...
江戸と上方に共通して存在する噺のひとつである「饅頭恐い」の上方版である。ただし、同じ噺でも江戸版がファイルサイズで16.3KBなのに対し、上方版は27.1KBある。内容的にもこのように盛りだくさんである。特に前半に出てきたキツネのエピソードはそれだけで一席の噺として演じられることもある(江戸では「九郎蔵狐」として知られる)ほどである。
- 『饅頭恐い』の歴史
- 中国は明の時代の『五雑俎(ござっそ)』という本に「貧乏書生が饅頭が恐いと言って饅頭屋の主のいたずら心を掻き立てて饅頭をせしめる」という原話がある。これが日本に伝わり、『気のくすり』(1779年)、『詞葉の花』(1797年)などで日本版『饅頭恐い』として成立。大阪で練り上げられたものを明治末期に蝶花楼馬楽が東京に持ち込んだ。「濃いお茶が一杯恐い」というのが当時の通人の間で流行した。