蛇含草



 売り言葉に買い言葉、てなことを申しますな。言わいでもええことをつい言うてしもうたために、後でえらいことになった、てな話しをよう聞きます。ことに、夏、ですな。暑い時分には、そうでなくてもイライラ、イライラとするものでございまして...


 江戸落語の『そば清』と同じく考えオチの噺で、同じ蛇含草がモチーフになっている。『そば清』の方は単に欲の張った博打うちの話しで、ごく単純である。対する『蛇含草』の方は「親しいのだが、明らかに上下関係のある間柄」の二人が意地を張り合って、限界を超えて餅を食ってしまうという話しで、これが正月の餅でないところが、暑さのせいで神経が苛立っているという心理的背景となって、さらに巧妙である。

 採録したのは亡き桂 枝雀師匠の講座である。絶品である。

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