例えば、私は自分でわざわざ買うボールペンは必ず外国製である。それもFisherのSpacePenレフィルかParkerのレフィルが使えるものと決めている。なぜか?
こんな経験はないだろうか?
近頃、何か書くというとワープロばかりで、どうもボールペンというものを使わない。さて、ちょっとした書類をボールペンで書かねばならない。そこでデスクのペン立てのボールペンを手にとって反故紙にグリグリッと書いてみる。おや、ペン先が乾いていて書けない。ヤレヤレ。次のを手にとって試す。書けない。引き出しの中を引っ掻き回して、やっと発見。でも書けない。あれもだめ、これも乾いている...
実は国産ボールペンの黒インクは実に乾きやすい(青や赤はそうでもない)。そんな時は火で炙るとよい、などという裏技を聞くが、そもそも乾く事が、私には許せない。というのも、こんな経験があるからだ。
高校の時に、お年玉を何に使おう、そうだ、かっこええボールペンを買って差をつけよう。そう考えた私は文房具屋のおばちゃんの言葉に従い、世界一のボールペンだ、とおばちゃんのいうCrossのスターリングシルバーのボールペンを買った。最初のうちは喜んで使っていたものの、そのうち無くしてしまってそれこそ十数年が過ぎた。そして、タンスの蔭から出てきた、こげ茶色にさび付いたそのボールペンが、驚くなかれ、そのまま書けたのだ。
日本製品は短期的にはとても使い勝手が良い。ところが、長く使う、信頼して使う、という段になるととたんに信頼性が落ちる。わが愛用のFisherのSpacePenレフィルは正直な所、インクがボタッと漏れる事がある。書き味はねっとりしている。線もムラがある。Fisher純正のボールペンのボディはペン先が半端にはみ出したり、クリップが取れたりする(しかし、保証書のあるかぎり修理は永遠に無料だそうだ。実際、無料で交換してもらった事がある)。しかし、今、書きたい、書かねば、というときに、インク切れは別として、インクがあるのに書けないなどという事は決してない。摂氏100度のサウナや冷凍庫の中においても大丈夫。くだらない、と思う? 100度ということは、炎天下、車のダッシュボードにおいても大丈夫ということ。これなら信頼性の高さ、分かるでしょ?
実はWindowsに同じ事を感じている。Windowsは国産のボールペンだ。しかも、ボディは見事な黒漆に金蒔絵まで施されている(まるで門徒の仏壇だ)。だから、水気に注意し、堅いもので擦らないようにしなければならない。セーム革で優しく拭くのだ。注意を守らなければ固まってしまう。手入れを怠れば乾いてしまう。でも、きらびやかな装飾は目を楽しませてくれる。
さて、どちらをえらぶ? 私はFisherのSpacePenを選ぶ。クリップがとれても書けるからだ。それどころか芯だけあれば十分。
前振りが長かったが、PC-UNIXを使いたいと私が考えるのは、そういうことだ。信頼性を何よりも重視するからだ。ただ、残念な事に今の段階で、PC-UNIXだけで日常の仕事が出来るかというと、まだまだだ。ホントの所、印刷さえ思うようにできたためしがない...
ひさしぶりに書店のPC-UNIX関係の書棚をじっくり見て驚いた。いまやLinuxの解説書、それもディストリビューションの解説書ばかりになっていて、FreeBSDの解説書は二種類しかなかったありさま。ほんの二、三年前までは4:6くらいの割でFreeBSDのもあったと思うのだが。
いまLinuxは物凄い勢いで勢力を伸ばしつつあるようだ。一時騒がれた、Windowsを駆逐するのではないか、という噂はまず実現する事はないだろうが(MacOS-XがIntelのCPUのPCをサポートするようになるという噂。これ、考えてみれば簡単な事。もともとOS-Xは最もユーザーフレンドリーなFreeBSDなのだ。実現すればMacOSがWindowsを駆逐するかも)、Linuxがシェアを非常に伸ばしているのは事実だ。ただ、Linuxというのは実は「Linuxの核(カーネルという)+それを動かすためのユーティリティの集団」としてのディストリビューションという配布パックとして存在していて、この配布パックが実に多岐にわたる。設定ファイルの置き場所さえ様々で、あるディストリビューションをマスターしても別の出所のものを触ると、西も東も分からないことになる。これはユーザーにフラストレーションを起こさせ、低信頼性のもととなる、Linuxの大きな欠点だ。
私が今回FreeBSDを選んだのはこれが大きな要因だ。FreeBSDは一つしかない。英語版と日本語版の違いさえない。私がもっとも魅力を感じているのはこの点だ。ひとつ覚えればFreeBSDすべてに通じる。私はFreeBSDをいじるのが楽しいのではない(そういう人もいるだろうが)。FreeBSDを使ってできる様々な事が楽しいのだ。従って、統一された思想のもと、すっきりと整理されたプラットフォームが提供されているFreeBSDはすばらしいのだ。
もっと現実的な問題もある。今回FreeBSDをインストールしようとしているのはNEC PC9821Nr300というNECの独自規格のノートパソコンである。現在、NEC PC9801/9821をサポートしているFreeのPC-UNIXはFeeBSD(98)以外にもNetBSDやLinuxにもあるようだが、最も早くから取り組まれていて、もっとも洗練されているのはやはりFreeBSD(98)で、従ってシェアも最も大きい。しかも、UNIX USER誌にFreeBSD(98)Rel.4.4.2のCD-ROMがついている、となれば、これを使わない手は無いであろう。