「確定子文法」

「確定子文法」は、日本語を学ぶ外国人にとって現在の文法で解決できない問題を一気に解決する新しい文法です。

23ページの小冊子ですが、日本語、英語、日本の古典を学ぶ人には朗報となる知識です。


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本文のプロローグを紹介します。

 外国人が話すたどたどしいピジン日本語。また、我々日本人が話すたどたどしいピジン英語。これらは、共に聞き苦しくそのうえ教育不可能である。この不幸な状況は、日本語以外の言語間ではほとんど見られない。例えばフランス語の話者は、やがて母国語と同じように英語を話すようになれるが、日本語と外国語間で第二の母国語を習得することは一般には不可能である。

 文の中には、確定と未確定の区別が明確に存在して、これを識別する品詞(確定子)が文中の必要な場所に必ず記述されている。この確定子の記述法則が確定子文法である。この文法は、明確な構造を持ち、従ってそれに伴う品詞を持っており、この品詞を使って明確な意志表現ができる。驚くべきことには、確定子文法を理解することは、その言語を母国語とすることと一致していることが示されることである。

 私は、私の母国語である日本語の確定子文法を作り、これに対応する英語の確定子を同定した。この英語の確定子文法に従って英語の物語を読んでみて、さらに驚くべきことが起こった。確定子の意味を理解しながら読むと、作者の熱い思いが手に取るように理解できて、強い感動と興奮がこみ上げてきて、英語がこんなに面白いものであることを初めて知ったのである。

 不思議なことに、確定子文法は、今まで全く知られていなかった。これは確定という概念が無意識の感情であることに起因する。そのため、確定子は品詞として明確に識別されているにもかかわらず、無意味な差異と考えられてきたのである。例を挙げると英語のit(確定代名詞)とthat(未確定代名詞)で、これに対応する日本語の確定代名詞は「あれ」、未確定代名詞は「それ」である。どちらの母国語話者も、それらは同じ意味の品詞で無意味な取るに足らない差異だと考えているのだが、特定の状況では必ず一方を使わなければならない。この劇的状況は本文中に示し、これが確定という属性に由来することを明示する。これらの区別は、母国語の話者には無意識に選択できるのであるが、外国語の話者には、この区別が全くわからない。これが母国語とピジン語とを区別しているのであるが、やっかいなことに母国語の話者が無意識なために説明できないのである。確定代名詞を例に挙げたが、これと同様の確定子が全ての品詞に網羅されていることを本文で立証する。

 ヨーロッパ系言語を中心にたいていの言語間では、それぞれの文法構造が類似しているため、使用している単語に一対一の対応が付く。そのため母国語を翻訳すると、自動的に確定子を含めたまま翻訳されてしまうのである。それ故、確定子の欠落による重大な間違いが発生することがなかったと考えられ、確定子文法が意識されることがなかったのであろう。しかし、日本語と英語とでは、文法が大きく異なるため、日本語を英語に翻訳しても確定子は、一般には随伴できない。日本語文の中で確定子を識別しておいて、英語で同じ機能の確定子を選んで付ける必要がある。つまり、確定子文法を使わない限り、正しい日米間の翻訳は不可能なのである。

 私は、確定子文法を日本語の古文に適用してみた。その結果は意外なことに、確定子文法は古文と現代文とでは、大きく異なっていることが判明したのである。この差異は、日本語と英語間の差異に匹敵する大きさで、確定子文法の媒介を経ずして古文を理解することは不可能であることが判明したのである。そして、確定子文法を中継して古文を読んでみて、初めて筆者の意図を理解し古文のおもしろさを堪能することが出来たのである。私の高校生の頃、古文は決して面白い授業ではなかったので、あの頃確定子文法を発見していれば、古文をもっと楽しく学べたのにと思いとても残念である。

 確定子文法は、クレオール語研究の成果として発見されたもので、言語の基本構造である。精力的な研究にもかかわらず、これまで発見が遅れたのは、研究対象のクレオール語の構造がヨーロッパ語に近いものであったために、確定子が分離できなかったからであると考えられる。

 また、言語の基本構造は、クレオール語のような発生直後の言語にだけ残っているもので、英語や日本語のように古い言語では消失しているという誤った先入観も災いした。発見された確定子文法は、全ての言語に脈々と伝わる言語の基本構造であることがわかったのである。全ての言語の探求に力強い道具になると思う。

 全ての言葉を愛する人のために、この本をささげる。  
武田靖彦 1999,8,7

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